思い出語りと、とあるオタクへの弔辞

お絵かきAIを取り巻く諸事について、吐き出したくなる出来事があったので、書く。

まず俺はしがない社会人オタクだ。

会社と家を往復する傍らXやディスコに入り浸り、ゲームアニメ漫画を楽しみ、バズった作品があればいっちょ噛みして感想を漏らして時にはハマり、バレンタインには掛け持ちしているソシャゲのプレイ画面の向こうだけにある大量の俺向けのチョコを眺めながらコンビニのチョコを食う。そんな奴だ。

 

そして、俺のお絵かきAIについてのスタンスだが、現状ではアレはクソだというしかない。

pixivを眺めればAIで大量生産した似たような構図でキャラだけ変えたエロ絵やご禁制のウマのアレが氾濫し、作者を見れば中国人とかパキスタンとかその編の連中。いっこうに規制とかもされずにブロックしてもブロックしても沸いてくる。

少なくとも俺の視界においては、バカと犯罪者の玩具。それが現状のお絵かきAIだ。

 

で、先日あるポストが目に入ってきた。

詳細は割愛するが、『俺が不愉快なんだからAI絵師は消えろ』という内容のことをオブラートに包まずストレートに表現していて、俺は強烈な既視感を覚えた。

 

数年前の表現の自由騒動のことを覚えているだろうか?

人工知能学会の会誌、宇崎ちゃんの献血のやつ、どっかの海女のやつ、温泉むすめ、そういったオタク向け萌えコンテンツがフェミのお気持ち棍棒でぶっ叩かれ、敗走に敗走を重ねていた時代だ。

正直言って辛かった。手当たり次第に炎上を仕掛けては、運営の謝罪撤回を勝ち取って勝利宣言して去っていく、くーつー女だの勝部だのなんか和菓子っぽい名前のやつだのラブライブ自爆女と言ったフェミ共に怒りと無力感を何度も味わった。

俺たちは出来る範囲で必死に戦った。しかしオタクと女では地位に天と地ほどの差がある。戦うには武器が必要だった。

青識とか手嶋とかのアルファツイッタラー(笑)が勃興したのは、なんでもいいから武器を欲したオタク達の需要が呼んだんだろう。彼らは理屈という武器を配り始めた。

「私たちが不快だ」『それはお前のお気持ちだろ』

「犯罪を誘発する」『誘発するというエビデンスははあるのか』

「モラルがない」『それを判断するのはお前達ではない』

この戦いは最終的にオタク世論が大方結集し、山田赤松ラインを国政に送り込んだことで終局を見た。正確にはオタク票田と呼ばれるものが政界に出現したことで、雑にフェミの味方をして票を集めようとする政治家を牽制できるようになり、逆にオタク層に雑にアピールする政治家も出現した。

企業もある程度腹をくくるようになり、散発的な抗議では企画を引っ込めなくなった。

ガチの規制派は残っているが、動きを察知して逐一潰せばいいことだ。あの議員二人にはその程度の能は期待してもいいはずだ。

 

そこに目に入ってきたのが例のポストだ。

『俺が不快だからAIは消えろ』

それはかつてフェミ共が振りかざしてきたお気持ちと同じ響きに聞こえた。

それがどっかのバカやキッズだったなら何も思わなかっただろう。

俺がショックだったのは、そいつがオタクであったからだ。オタクは同族は見ればある程度わかるし、メディア欄やプロフをみれば一目瞭然だ。

そんなやつが、いつの間にかAIに関してはお気持ちを振り回している。

そりゃ不快だろう。AIで犯罪や迷惑行為をするやつも居るだろう。俺だって嫌だ。

だが俺たちは、お気持ちで二次絵を燃やそうとするフェミ相手に法と理屈で立ち向かったんじゃなかったか?

二次絵が犯罪を誘発するという主張がお気持ちだったように、AIが犯罪を誘発するという主張もまた現状ではお気持ちだ。

AIを使った犯罪行為もあるだろう。しかしそれは犯罪者が新しい道具を手に入れただけだ。理屈に沿うなら、主張すべきはAIの規制ではなく法整備であるべきだ。

それら全ての順序をぶっとばして、新たな技術に消えろ、と吐き捨てている。かつて共に肩を並べたではずの、どこかで出会っていれば友になれたであろうオタクがだ。

 

この後の流れは大体想像がついている。

彼はエコーチェンバーのなかに引きこもるだろう。どんどん言論は先鋭化し、その度に晒され叩かれ硬度は増していく。

しかし主張は通らない。なぜなら理屈も法も持っていないからだ。俺はかつて振るった武器の強さを知っている。女にさえ通じた武器がオタクに通じないはずがない。

パブコメにラッシュを仕掛けているようだがあれは無意味だ。パブコメは選挙ではない。1+1=2である、という論文を百万通学会に送ってもなんの意味もない。

そして彼らは要望が通らないがゆえにさらに過激化する。過激化しすぎていくあてが失くなれば、やがて活動家界隈に吸収される。

増税メガネがーとかつまらんツイデモを一日中やっている連中の一味となり、好きだったコンテンツの事も呟かず、一日中不満を漏らしては仲間と傷を嘗めあって、他人を馬鹿にする。そんな日々を送るだろう。

おそらくはそうなる。なぜそう言えるかというと、かつて友人が一人フェミに転んでオタクでなくなっていく過程を見たからだ。

そいつは今立派な活動家となり、三重のアレに文句をつけている。推しや好きだったコンテンツに動きがあっても反応すらしない。彼もきっとそうなる。

 

しかし俺はそうとわかっていてもお前を糾弾せねばならない。

それがかつて理屈をこねてフェミのダブスタお気持ち炎上と戦ったものの責務だ。ダブスタを指摘するなら自らはダブスタを犯してはならない。

そのために俺は犯罪者みたいなAI絵師のために、友になれたかもしれないお前を非難し、通報し、パブコメを送り、ぶん殴らねばならない。

 

俺はそれがとても悲しい。